月経

閉経前後のこんな病気に注意

月経の変化や不調を「更年期だから」と考えてしまいがちですが、じつは病気にかかっている結果として、そうしたトラブルが起こっている場合もあります。

月経期間ではないときに起こる不正出血や、月経の周期が乱れるなどの月経不順がみられるときに、もっとも注意しないといけないのが、子宮ガンや卵巣ガンです。

子宮ガンには、子宮頸ガンと子宮体ガンがあり、いずれも初期は症状が出ませんが、進行すると不正出血が起こる場合があります。

また、閉経準備期に起きる症状で気をつけなくてはいけないのが、子宮筋腫や子宮内膜症。閉経直前期や閉経直後期では、腔炎や膀胱炎、貧血に要注意です。

腔炎は、閉経でエストロゲンが出なくなることによって腔が萎縮したり、腔の乾燥が進むことがおもな原因です。萎縮とともに粘膜が薄くなると炎症を起こしやすくなります。

病気にかかっていなくても不調を感じる年代ではありますが、年に一度は健康診断を受け、また気になる症状があったら、まずは検査をじて確かめることをおすすめします。 


閉経直前直後のカラダとココロのコーピング術(対処術)

生活―夜更かしをやめる

「血」を消耗させないようにすることに尽きます。

乾燥

たとえば、血虚の特徴の一つ「乾燥」。目の乾きがひどいなら目薬を、皮膚の乾燥やシワが気になるなら保湿効果の高いクリームを、また腔をうるおす分泌物が減少して性交痛がある場合には粘膜に潤滑ゼリーを塗るなど、カラダの外からのうるおいケアもとりあえずは大切ですが、血虚がこれ以上進行しないように力ラダの中からのケアを併用しましょう。

それにはまず、夜更かしをやめることです。なるべく夜は12時前に眠りにつくように習慣づけましょう。

午前二時や三時まで起きているだけで、血は消耗します。長時間寝たとしても、夜更かしをしていてはカラダが休まりません。その結果、集中力の低下や疲れやすいといった症状も生じてきます。

さらに、睡眠不足も血を消耗させます。

四〇代後半の女性患者さんは、仕事が忙しいながらも肌の手入れに気を使ってきたそうですが、「最近は、睡眠不足だと肌の乾燥がはっきりとわかる」とのこと。「高価な美容液より、まず睡眠」と語っていました。六時間は睡眠時間をとるようにしたいものです。

また、目を酷使しても血は消耗し、目の乾きやドライアイがひどくなります。パソコンを長時間使ったり、テレビやビデオを見つづけたり、細かい字を読むときなどは、ときどき目を休ませるようにしましょう。


閉経の直前・直後時の不調の原因

閉経に近づくころ―女性の「七年ごとの変化」でいう四九歳前後は、「血」の量や質自体が低下しています。これを、漢方では、血が不足している「血虚」の状態と考えます。

栄養が行き渡らないばかりか、栄養そのものが不足してきますから、全体的に乾燥症状が著しくなります。第一章で説明した、「老化の二つの流れ」のうちの、「実から虚へ」の流れが「血」で起きている状態です。このときにみられる老化の特徴として、漢方では「潤(うるおいのある状態)」から「乾(乾燥した状態)」になることを挙げています。

江戸中期の医師、香月牛山が、「婦人虚弱にして閉経するは血脈枯渇するなり」と記しているように、女性は血の量が少なくなって閉経すると考えられています。

西洋医学で説明すると、閉経が近づくと、いよいよ女性ホルモンのエストロゲンが少なくなってきます。

腔の粘膜や泌尿器、皮膚などは、エストロゲンのおかげで健康を保っているといっても過言ではありません。そのため、エストロゲンの量が一定量を下回ると、子宮などの泌尿生殖器がだんだんと萎縮し、骨量も減少し、高脂血症や動脈硬化などが進みます。


カラダとココロのコーピング術(対処術)

①生活-毎日少しでもカラダを動かす

血行促進

血行をよくするための適度な運動をつねに心がけてください。三〇代までは、月に二、三回のスポーツクラブで半日かけて汗を流すといったように、ある程度まとめて運動することでも体調管理はできますが、四〇代からは、いったん不調になると回復するのに時開かかかります。ちょっとした不調をため込まないように、短いサイクルで、できれば毎日少しでもカラダを動かすことが大事です。

ただ「運動」といっても構える必要はなく、一駅分歩いたり、エスカレーターを使わず階段を使ったり、軽い散歩を日課とするなど、簡単なことからはじめ、つづけることを優先させましょう。

月経トラブル

特に月経にまつわるトラブルを感じている方には、骨盤の血行をよくする体操やウォーキングなどがおすすめです。毎日、腰を回すだけでも効果があります。

また、座っている時間が長いようなら、一~二時間おきにでも一度は立って、動いたり、歩いたりして、骨盤の血行循環が悪くならないように気をつけましょう。


不調の原因

こうした症状がなぜ起きるのか、を漢方で端的に説明すると、カラダのなかで「血」の流れが悪くなっているためといえます。

血行が悪いと、骨盤の血液循環が悪くなり、月経時に痛みなどさまざまなトラブルが生じます。このほか、こりも血行と関係していますし、必要な血液を必要な場所に送ることができないと体温調整もできなくなり、冷えを感じるようになるのです。

もともと漢方では、思春期からの女性は更年期に似た症状が出る可能性がある、と考えられています。これは、「血の道症」という考え方で、冷えやのぼせ、頭痛、肩こりなど、「婦人に見られる更年期障害類似の自律神経症候群」を指すといわれています。さらに、更年期の女性の場合は、その発症率が高く、また症状が強く出ることが特徴です。


ケア次第で閉経を先送り

漢方でも、加齢によってカラダが老化すると、「血」が体内で滞り、必要なところにめぐらなくなると考えます。さらに、老化が進むと、「血」の量自体が少なくなり、体内のバランスが崩れる原因になり、閉経という結果にもつながります。

女性のなかには、「閉経したほうが、生理用品などの面倒がなくなってラク」「月経痛などで悩まされることがなくて気軽」などと思っている人もいます。しかし、閉経はこれまで説明してきたように、卵巣を含めた加齢による老化の結果です。

閉経後には、自然と太りやすくなるほか、骨粗霧症や高脂血症といった生活習慣病へのリスクも高まります。閉経にはまだ早い年代の人が閉経するのは、早く老化していることのあらわれなのです。そのため、閉経の時期を遅らせるケアをすることは、老化の速度を遅く、波をなだらかにすることにつながります。

漢方の場合は、みなさんの多種多様な個々の症状であっても、「血」を含め、「気」や「水」など、いろいろな分類の仕方(漢方医学では「証」といいます)を組み合わせて、カラダをトータルでとらえながら、ある程度は類型化できます。

また、四〇歳を過ぎたら生じるさまざまな不調にも、閉経に向かう初期の段階と、いよいよ閉経になる直前の段階、さらに閉経直後の段階とで、症状、さらには程度や頻度が違ってきます。


月経周期が短くなってきたら

卵胞の数が減ると、どういうことが起きるのでしょうか。

まず、卵胞から血液中に分泌されているエストロゲンやプロゲステロンの量が少なくなります。この情報が脳に伝わると、脳からは「もっと卵胞を刺激しなさい」との指令が出ます。そのため、卵胞が過剰に刺激され、排卵が早く起きてしまいます。

さらに、プロゲステロンの分泌低下によって黄体期も短くなり、結果的に月経周期が短くなっていきます(頻発月経)。

たとえば、月経周期が二八日(七日X四週)だった人が、二一日(七日×三週)くらいになることもあります。また、不意の出血を経験することもあるでし
ょう。ただ、この段階で、「自分は更年期かな」とは、なかなか気づきません。逆に、月経の間隔がせばまったことで、「若返ったのかしら」と思う人もいます。

しかし、これは卵巣の機能が低下したことの兆しとして、一般的にまずあらわれる現象なのです。

やがて月経日数自体が短くなったり、少量の出血が長くつづいたり、全体の月経量が減ったり、逆に突然量が極端に増えて貧血症状になったりするなど、さまざまなタイプの月経不順があらわれてきます。

また、卵巣の老化により、卵胞の発育自体もだんだんと悪くなってきます。脳から、いくら卵巣を刺激して卵胞の発育をうながしたり、排卵をうながす指令を出しても、卵胞の反応が悪くなっていくと、やがて卵胞の発育に日数がかかり、月経の周期が長くなっていきます(稀発月経)。

さらに卵胞の数が減ったり機能が低下すると、卵巣を刺激しつづけても、とうとう卵胞は反応せず、やがて発育しなくなります。こうして月経が起こらなくなり、閉経にいたるのです。


卵巣も老化する

月経は卵胞期→排卵→黄体期→月経というサイクルになっています。女性は、卵巣という臓器のなかに、数十万個といわれるほどのたくさんの卵胞(卵子のもと)をもって生まれてきます。卵胞は毎月一個ずつ、卵巣のなかで成熟していきます。

卵胞は、成熟する過程でエストロゲンを血液中に出し、精子が子宮内に入りやすいように環境をととのえます(卵胞期)。

成熟した卵胞から卵子が排出され(排卵)、卵巣から飛び出します。

排卵後の卵胞は、組織変化を起こして黄色になるため黄体と呼ばれます。黄体は、少量のエストロゲンと、プロゲステロン(黄体ホルモン)という別の女性ホルモンを分泌し、プロゲステロンによって、子宮内は受精卵が育ちやすい環境にととのえられます(黄体期)。

排卵後、卵子はタイミングが合うと精子とであって受精します。この受精卵が子宮内膜に着床すると妊娠となります。


私の閉経はいつ?

「私の閉経がいつごろか、検査をすればわかりますか」

四〇代前後の患者さんから、こんな質問をたまに受けます。

閉経は、女性ならだれでも経験する自然現象です。医学的には、月経が一年間ない状態を確認することで「閉経」とみなします。子宮摘出後など、月経からは判断できない場合には、卵胞刺激ホルモン値が四〇mIU/mL(ミリ国際単位/ミリリットル)以上で、さら女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)の一種、エストラジオール値も二〇pg/mL(ピコグラム/ミリリットル)以下である場合、閉経したものと判断します。卵胞刺激ホルモン値の上昇は閉経の予兆にはなりますが、閉経の年齢を予想するのにはあまり役立ちません。


閉経は人生の一大イベント

前章の「40歳~55歳の『気・血・水』チェックリスト」のうち、まずは「血」、いわゆる血液が関係する40代からの女性のカラダとココロの変化について説明します。チェックリストで、「血」にかかかる項目に多くのチェックがついた方は、この章から読んでみてください。

説明にあたっては、「気・血・水」の言葉の順番に沿って「気」からおこなうのが一般的ですが、40代からの女性にとっての最大の関心事は、「月経がいつ終わるか」といった閉経に関することなので、閉経にまつわる心身の変化に関係が深い「血」をまずは取り上げたいと思います。

「閉経」は、「初潮」とともに、女性の一生のなかでの大きな転換点の一つです。閉経自体は、けっして病気ではありません。しかし、約10年かけてホルモンバランスをけじめ、心身にいろいろな変化が生じていくわけですから、閉経前後の10年間は、「女性にとって非常に大切な時期」といえます。

心身に生じる変化を考えれば、「毎月あった月径がなくなる」ことによる心身への影響は、「月経がはじまる」ときに変化とは比べものにならないほど多種多様です。

その意味では、閉経は女性のカラダをめぐる一生のイベントとして、初潮よりも重要な位置づけにあるといえるでしょう。この時期の過ごし方がその後の人生や体調を左右するといっても、過言ではありません。

ちょうどこの時期は、西洋医学でいう「更年期」にあたるため、序章で書いたように、「月のもの(月経)がなくなる」という、「閉経」を意味する英語「menopause」は、「更年期」とも訳されます。つまり、閉経は、更年期と同義に扱われるほど、密接な関係があるということです。


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