40歳からの悩み「更年期が心配」
40歳は、中国の思想家、孔子が書いた『論語』で「不惑」と表現されています。しかし、みなさんの体調については、「30代までと、何か違う感じ」と、少なからず戸惑いを覚えてはいませんか。
たとえば、「何事もおっくうに感じる」「暑くもないに汗が噴き出て、直後には寒気がする」「月経周期が以前より短くなった」――といっか症状です。
40歳の足音を聞くと、この「何か違う感じ」が徐々にあらわれ、時を経るごとに、その不調ともいえる違和感が多様に、また頻繁になっていきます。
こうした過程は「更年期」として、みなさんも聞いたことがあると田心いますが、この「更年期」という言葉自体が不調の原因になってしまうこともあるのです。
「更年期という言葉を聞くと、恐怖感さえ覚えます」
40歳をちょっと過ぎた独身の女性患者さんは、職場の8歳上の女性が、更年期障害がひどく、会社を頻繁に休み、最終的には辞めざるをえなかったことを目の当たりにし、「私も更年期になって症状がひどかったらどうしよう一と、不安で仕方かおりませんでした。
更年期にはまだ早い彼女は、通勤途中の電車のなかでちょっと汗が出てきたり、疲れたときにめまいがあったときに、先輩女性の姿を自分の身に置き換え、「自分ももう更年期で、これからどんどんいろいろな症状が出てくるのではないか」と恐怖感を覚え、将来への漠然とした不安によって体調を崩していました。
彼女は、自宅近くの病院で検査をしましたが更年斯にみられるホルモン値の異常がなかったために、私か勤める、西洋医学と漢方医学の両方で診療しているクリニック(東京女子医科大学東洋医学研究所)を訪れました。
私か診察しているなかでも、このケースのように、更年期にはまだ早い年代の女性が、30代とは違う体調の変化を経験した際に「更年斯ではないか」とおののき、まだ見ぬ「更年期」への不安が理由で、よけいに体調を崩してしまっている側か少なくおりません。
私はかねてから、40歳以上の女性がこうした不安を覚えることについて、「取り越し苦労にすぎない」と片づけてしまえるほど簡単だとは思えませんでした。
彼女のように、「更年期」に対して必要以上に身構えたり、過剰に敏感になる理由の一つは、近未来の自分の心身にどのようなことが起きるのか、という予備知識や具体像がつかみ切れていないせいではないか、と思いいたりました。
「更年期」とは、英語の「menopause」を翻訳したもので、語源は「月のもの(月経)がなくなる」ということです。
更年期は、成熟期から老年期へと移行する時期で、日本産科婦人科学会では「閉経の前後五年間」と定義しています。閉経とは、月経が一年以上こなくなることです。だいたい50歳が閉経の平均年齢といわれていますから、「更年期日45歳から55歳くらいまで」となります。
この約10年間に女性の体内ではどんな変化が起こっているのでしょうか。くわしくは後述しますが、健康状態を左右する重要な役割をするエストロゲン(卵胞ホルモン)という女性ホルモンの分泌量が加齢によって徐々に減っていくなど、それまでの人生で体験したことがないような大きな変化がいろいろと体内で起きています。初めて月経になったときとは比ぺものにならないぼどの大変化です。その結果、心身に違和感を覚えたり、不調をきたします。
そして、この時期にあらわれる多種多様な症状のなかで。「器質的変化に起因しない症状か「更年斯症伴」と呼び、これらの症状のなかで日常生活に支障をきたす病態を『更年期障害』とする」と、前出の学会では定義しています。
つまり、「更年期障害」とは、甲状腺ホルモンの機能異常などの病気がない状態で、閉経前後の約10年間におとずれるさまざまな不調な症状が、毎日暮らしていくのが難しいほどつらい場合をいい、更年期といわれる年代の女性の「だれもが更年期障害になるわけではない」のです。
一方、多くの人が経験する「更年期症状」の典型的なものとしては、カラダがコレステロールをため込みやすくなり、太りやすくなるほか、冷えやのぼせ・ほてり(ホットフラッシ言、動悸、息切れ、めまいといった身体的な症状のほか、イライラや倦怠感、憂うつ、不眠などの精神的なものもあります。「不定愁訴」と呼ばれるほど、多種多様な症状が日によっていろいろとあらわれるので、これはこれで軽視できない不快さです。
これらの症状を意識しながらも、実際に病院に行かなくてはならないほどの更年期障害かある人は、更年期の全体女性のうちの約三割程度で、特に更年期障害が強く出る人は、その人が置かれている環境やもともとの性格が影響するといわれています。
- 閉経を軸に「40歳~55歳」の変化をとらえる
40歳からの女性の心身にとっては大事なイベント「閉経」ですが、どんなことが実際に起こるのか、わからない人が多いのも事実です。初潮については、学 校の保健体育の授業などで取り上げられよすが、閉経については「来るのはわかっているが、なってみないと何か起こるかわからない」といった状況です。 - 不定愁訴とは?
女性が更年期に対して怖さを覚えてしまうことは、この時斯に生じる不調が「不定愁訴」と呼ばれていることからも推しはかることができます。 - 40歳からの悩み「更年期が心配」
私か診察しているなかでも、このケースのように、更年期にはまだ早い年代の女性が、30代とは違う体調の変化を経験した際に「更年斯ではないか」とおののき、まだ見ぬ「更年期」への不安が理由で、よけいに体調を崩してしまっている側か少なくおりません。