「陽から陰へ」「実から虚へ」

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加齢による心身の変化、つまり老化には、大きく分けて2つの流れがあります。「陽から陰へ」の流れと、「実から虚へ」の流れです。

まず「陽から陰へ」とは、年齢を経るごとに、熱のある「陽」の状態から、冷えている「陰」の状態へと向かうことです。つまり、年をとると体温が低くなり、寒がりになるのです。

古代中国では、すぺてのものが「陰」と「陽」の二つの要素で成り立っていると考えられていました。たとえば、暗いと明るい、湿っている状態と乾燥している状態といった具合です。カラダについていえば、カラダ全体またはカラダの一部の新陳代謝が低下した状態が「陰」、新陳代謝が活発な状態が「陽」になります。そして、老化によって、陰が陽よりも強くなっていくと考えます。

中高年の女性が防寒のために好んで着る下着のことを、「ババ(婆)シャツ」といいますね。「陽から陰へ」の流れは、男女ともに共通ですが、特に女性は、熱をつくり出す筋肉が少なく、もともと男性よりも冷えやすいこともあり、寒さへの感度が年齢とともに高くなっていくともいえます。

2つめの老化の特徴は、「筋肉質でがっちりしている」「積極的」「疲れにくい」「胃腸が丈夫」といったことが特徴の「実」の状態から、「痩せ型で水太りしやすい」「消極的」「疲れやすい」「胃腸が弱い」といった「虚」の状態へと変化していくことです。

これはあくまでも傾向を示すもので、若いころから虚弱体質だった人は関係ないかというと、そうではなく、カラダがもともと弱かっか人は、老化によって、もっと弱くなってしまうと考えてください。

中国の古典には、「女性は虚になることで非常に冷えて、その冷えが体のなかに積もり、気(エネルギー)が滞り、いろいろな病気が起きる」と記されています。つまり、女性は「虚」と「陰」の状態が一緒になって病気が起こりやすい、ということです。

40歳から55歳までは、「陽から陰へ」「実から虚へ」の過渡期を経て、完全な「陰一と「虚」に向かう直前の時期になります。

なお、漢字のイメージから、「陰」や「虚」が、「陽」「実」と比ぺで[悪いもの]と感じてしまう方がいるかもしれませんが、これは「良し悪し」といった価値観の問題ではありません。そういう状態になっていく、という単なる事実として淡々ととらえてください。

漢方の老化の流れから見て、心身ともにとても大きな変化がカラダに起きている年代です。

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