カラダの変化

「ツボ押し」で毎日メンテナンス

40歳からの「こまめ」ケアでは、なるぺく「その日の不調は、その日のうちにリカバリー」することが大切です。自分でできる簡単なケアとして「ツボ押し」があります。

ツボとは、全身のエネルギーの通り道(経絡)の要所にあるポイントで、心身がバランスを崩していると経絡を通じてツボにあらわれます。

ツボを押すときは三段階くらいで徐々に力を強くして、五秒くらい「痛いけれど気持ちいい」程度の力で押します。その後、ふたたび三段階くらいで力を抜いていきジワーツと離します。これを五回くり返します。

道具も要らず、手軽にカラダのメンテナンスができるツボ押しを、ぜひ日常のなかに取り入れてみてください0私も、夜の入浴後のツボ押しを日課としています。ボディーローションを手にとり、リンパの流れに沿ってマッサージしながら、あわせてツボ押しをおこないます。血液の流れをよくするとともに、体内にたまった余分な水分や老廃物を排出することができます。

ツボ押しの応用エhンとしては、押す他に、スボの一をお灸やカイロ、シャワー、ドライヤーなどで温めるのも効果的です。

なお、あとで、40歳からの不調のコーピング術(対処術)として、「ツボ押し」の活用についても触れています。

 

ツボの位置の測り方

ツボの位置を測るときは、女性は右手を使います。

  • 指一本分=親指の第一関節の横幅
  • 指二本分=人さし指、中指の第一関節の横幅
  • 指三本分=人さし指、中指、薬指の第一関節の横幅
  • 指4本分=人さし指、中指、薬指の第二関節の横幅 

40歳からは「こまめ」ケアを心がける

先ほど説明した老化の二つの流れでいうと、男女ともに、一般的に20代後半から30代前半にかけて「陽」と「実」のピークを迎えます。そして女性は30代後半からは「陽から陰へ」「実から虚へ」の過渡期に入ります。さらに、40歳から55歳までは、徐々に完全な「陰」と「虚」に向かっていく過程といえ、ホルモンバランスの変化もあいまって、いろいろな不調を感じるようになります。

40歳以上の特徴としては、いったん不満になるとなかなか復調せず、長引く傾向にあることです。

たとえば、連続して週の半分は夜中まで起きていて、一日の睡眠時間が4、5時間程度たった場合。30代までは、週未にジムで汗をかいたり、普段より長く寝ることで、翌週に響くことはなかったのに対し、40歳を過ぎてからは、週末にジムに行く気力もないうえに、長時間寝ていても疲れを引きずりだるさが取れない、という経験はありませんか。

「寝だめ」ができるのも30代までなのです。ジムに行って汗を流すにも、たまった疲れを週末に寝るだけで取ることができるのにも、体力が必要です。

エネルギー・レベルが落ちている40代からは、蓄積されてしまった疲れを回復させるだけの、まとまった体力がなくなっていきます。「その日の疲れは、その日のうちに」を意識して「こまめ」なケア(養生)をすることで、なるぺく疲れをためないようにするのが、40歳から55歳までのケアの基本的なポイントとなります。


カラダとココロは一つ

漢方では、体内をめぐって流れている三つの要素「気・血・水」を重要視します。

「気」とは、空気などの酸素やガスだけでなく、元気、気合、気力、根気などの言葉に使われているように、生命活動の源(エネルギー)を指します。さらに、気持ちや気分のような、ココロの状態も含めます。

「血」は西洋医学でいう血液のことで、「水」は血液以外のリンパ液、汗などの体液を意味します。

漢方では、「気・血・水」のそれぞれが互いに影響しあっていると考え、これらが十分にバランスよくカラダの隅々までめぐっている状態を「健康」ととらえます。逆に、「気・血・水」の異常―バランスが崩れ、いずれか一つでもカラダのどこかで滞っていたり、不足していると、心身にさまざまな不調があらわれます。

「健康」とは、心身全体の調和がとれている状態のことです。カラダとココロは別々に存在しているわけではありません。カラダが弱っているためにココロが不調になることがあれば、ココロが弱っているがために、カラダが不調になることもあります。

たとえば、うつ病の患者さんは便秘で悩んでいる場合が多いものです。これは、思い悩んで脳の動きが鈍くなると、胃腸が活発に働かず、便秘になりやすくなるからです。

しかし、こうしたココロの不調による便秘の場合、下剤を使ったり、食物繊維をとっても、便秘がなかなか改善しないばかりか、うつうつとした気分もなかなか晴れません。他方、うつ病にだけ着目して、抗うつ剤で対処しても、便秘が改善されるものでもありません。

漢方では、まずは胃腸の働きをよくして、便秘症状を治すことから治療をはじめることかあります。このように漢方では、カラダとココロを包括的にとらえ、患者さんを全体像でとらえていきます。これを、「心身一如」といいます。

みなさんが、40歳からの心身の不調を理解するにあたっても、この心身一如の考え方を基本に、不調を感じるカラダの部分部分に対して近視眼的にならないことが、40歳からの不調の特徴である、不定愁訴に惑わされないポイントの一つといえましょう。


環境や性格も症状を左右する

この時期の不調のあらわれ方には、序章でも触れたように、個人差があります。不調を強く訴え、病院に行かなくてはならないほどつらい人がいる一方で、ほとんど不快な症状を感じないまま、閉経を迎える人もいます。

こうした個人差が生じる要因としては、一つにストレスがあげられます。ストレスが多いと、更年期症状が強く出やすく、さらには、更年期障害になりやすいといわれています。

40歳以上の世代は、子どもの受験や就職、独立、夫との関係や最近では夫のリストラ間題、義父母や自分の両親の病気や介護といった、自分だけでは解決できないさまざまな問題を抱えています。

また、自分自身のことについても、近所づき合いや友人関係、仕事をもつ女性であれば、仕事の責任やプレッシャー、職場の人間関係などに頭を悩ませることもあるでしよう。

こうした、環境要因と呼ばれるいろいろな問題がストレスになると、脳を通じて自律神経やホルモンにも影響を与え、カラダの変調につながります。また、環境要因には、普段の生活が不規則だったり、食生活の乱れ、あるいは過労や睡眠不足といったことも含まれ、要因が過度になると症状を重くすると考えられています。

さらに、よくいわれるのが、性格が与える影響です。医学的には気質要因といい、いわゆる几帳面で完璧主義の人が更年期障害になりやすいとされています。反対に、もともとあまり物事を気にしない性質で、前向きな思考の人は症状が出にくい傾向かあります。

もちろん、耐えられないほどつらい症状で悩んでいるときに、前向きに考えること自体、なかなか難しいものです。しかし、これは、「ニワトリが先か、卵が先か」の議論に似ていて、神経質だったり、自分を追い込むタイプの人だからこそ、症状がつらくなり、前向きになれずに、さらに症状を悪化させる…という、「負のスパイラル」になりがちです。

「もともと、そういう性格だから、仕方がない」などとは思わずに、このスパイラルを断ち切るためにも、完璧主義な人は「抜く」ことを覚えるなど、40歳からの不調を逆手にとって、自分自身を変えるきっかけにしてほしいと思います。 


女性ホルモンの減少で不調が起きる

加齢によって臓器は老化し、機能がおとろえます。女性特有の臓器、卵巣も例外ではありません。卵巣の働きがおとろえ、卵巣から分泌している女性ホルモンの量が徐々に減ると、月経の周期が乱れ出します。

28日前後の周期でめぐっていた月経の周期が短くなったり(頻発月経)、逆に二ヵ月に一回、半年に一回と周期が長くなること(稀発月経)もあります。周期が短くなったことで、「若返っだのでは?」と勘違いする人もいますが、40歳からの頻発月経は、卵巣の機能が低下しはじめたことにより排卵が早まったことなどの原因で生じ、閉経を意識すべき兆しであると覚えておいてください。

このように周期が不規則になりながら、やがて月経がこなくなります(閉経)。日本人の閉経の平均年齢は、49・5プラスマイナス3.5歳で、中央値は50.5歳といわれています。

また、ホルモンも不調に影響を与えます。ホルモンとは、ギリシア語で「刺激する」という意味です。脳からの指令を伝える命令系統のうち、内分泌系の命令を伝達する物質のことを指し、環境や体調の変化にカラダをうまく順応させる役割があります。

成長ホルモン、副腎皮質ホルモンなど、現在わかっているだけでも70種類以上あり、なかには、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)という、女性特有のホルモンもあります。

 


「陽から陰へ」「実から虚へ」

加齢による心身の変化、つまり老化には、大きく分けて2つの流れがあります。「陽から陰へ」の流れと、「実から虚へ」の流れです。

まず「陽から陰へ」とは、年齢を経るごとに、熱のある「陽」の状態から、冷えている「陰」の状態へと向かうことです。つまり、年をとると体温が低くなり、寒がりになるのです。

古代中国では、すぺてのものが「陰」と「陽」の二つの要素で成り立っていると考えられていました。たとえば、暗いと明るい、湿っている状態と乾燥している状態といった具合です。カラダについていえば、カラダ全体またはカラダの一部の新陳代謝が低下した状態が「陰」、新陳代謝が活発な状態が「陽」になります。そして、老化によって、陰が陽よりも強くなっていくと考えます。

中高年の女性が防寒のために好んで着る下着のことを、「ババ(婆)シャツ」といいますね。「陽から陰へ」の流れは、男女ともに共通ですが、特に女性は、熱をつくり出す筋肉が少なく、もともと男性よりも冷えやすいこともあり、寒さへの感度が年齢とともに高くなっていくともいえます。

2つめの老化の特徴は、「筋肉質でがっちりしている」「積極的」「疲れにくい」「胃腸が丈夫」といったことが特徴の「実」の状態から、「痩せ型で水太りしやすい」「消極的」「疲れやすい」「胃腸が弱い」といった「虚」の状態へと変化していくことです。

これはあくまでも傾向を示すもので、若いころから虚弱体質だった人は関係ないかというと、そうではなく、カラダがもともと弱かっか人は、老化によって、もっと弱くなってしまうと考えてください。

中国の古典には、「女性は虚になることで非常に冷えて、その冷えが体のなかに積もり、気(エネルギー)が滞り、いろいろな病気が起きる」と記されています。つまり、女性は「虚」と「陰」の状態が一緒になって病気が起こりやすい、ということです。

40歳から55歳までは、「陽から陰へ」「実から虚へ」の過渡期を経て、完全な「陰一と「虚」に向かう直前の時期になります。

なお、漢字のイメージから、「陰」や「虚」が、「陽」「実」と比ぺで[悪いもの]と感じてしまう方がいるかもしれませんが、これは「良し悪し」といった価値観の問題ではありません。そういう状態になっていく、という単なる事実として淡々ととらえてください。

漢方の老化の流れから見て、心身ともにとても大きな変化がカラダに起きている年代です。


女性の変化は「七の倍数」

『黄帝内経』の別の巻では、性差による心身の変化について触れています。女性の場合は、7歳ごとに節目を迎えることが記されています(ちなみに、男性の場合は、一生を八の倍数でとらえています)。

「女性は7歳にて、腎気盛んになり、歯が生えかわり、毛髪が伸びる。14歳になると、月経がはじまり妊娠が可能になる。21歳になると、腎気が充実し、智歯(親知らず)が生えぞろい、身長も伸びきる。28歳になると、筋骨がたくましくなり、毛髪ももっとも長く、身体は盛壮となる。35歳になると、陽明の脉がおとろえ、顔がやつれはじめ、脱毛がはじまる。42歳になると、三陽の脉がおとろえ、顔のやつれは広がり、白髪が生えはじめる。49歳になると、閉経し、老衰し子どもができなくなる」

月経の周期や肌の新陳代謝の周期は28日(7の4倍)といわれていることなどを考えると、「7の倍数説」は、的を射た指摘といえるでしょう。また、閉経を49歳としていることも、その後の調査で一般的な閉経時期は50歳前後といわれていることにもあてはまっています。

このように、昔から「心身は変化する」ことが前提となっているわけで、変化が生じている以上はなんらかの反応が起こることは当然のことといえます。ですから、その「反応」に対して、みなさんが、「恐れず、怯まず、侮らず」対処していけるよう、このサイトでお手伝いしたいと思っています。

なお、『黄帝内経』では、7の7倍である49歳の記述で終わっています。その後は、大きな変化がみられないためかと思いますが、更年期を閉経前後の10年間と位置づけているように、閉経を迎えた後も老化にともなう変化はゆるやかにつづき、やがて体調は落ち着いていきます。


2000年前から確認されていた心身の変化

中国最古の医学書といわれる『黄帝内経』は、約2000年前に書かれたといわれています。原本は散逸して現存していませんが、その後、何度か編纂され伝わっているなかで、人が生まれてから死ぬまでの一生の変化を、次のように説明しています。

まずは、10歳から30歳まで。

「10歳になると五臓が発育して一定の丈夫さになる。血気はよく働きめぐり、走り回るようになる。20歳になると、血気が盛んになりはじめ、肌の調子もよく筋肉も発達し、行動がさらに鋭敏になり、歩くのが早い。30歳になると、五臓は強くなり、全身の肌や筋肉も堅固になり、血気は充ちて盛んになり、歩き方はおだやかで、落ち着き払って歩くことを好むようになる」

漢方の専門用語が多いので、わかりづらい部分があるかもしれませんが、人間の成長過程を示しているということは、感じ取っていただけることでしよう。ちなみに、「五臓」とは、漢方が考える内臓の基本となる、肝、心、牌、肺、腎のことです。これに大腸、小腸、胆、胃、三焦、摩胱の六rを合わせたものを一五臓六肺」といいます。

 


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